卵殻から次世代食器　福井クラフト（福井県鯖江市）：北陸中日新聞Web logo-en-hatena logo-en-twitter logo-en-facebook logo-en-line logo-chunichinp

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速報

2021年11月9日 05時00分 (11月9日 10時08分更新)

上田秀実専務（右）と錦織大祐支店長がアピールする、卵殻やパルプなどを使った次世代バイオマス食器＝福井県鯖江市で

業務用食器卸脱プラに注力

　「次世代バイオマス食器」と銘打ち、卵の殻を使った「シェルミン」シリーズを、福井クラフト（福井県鯖江市）が十月に発売した。卵殻（らんかく）とパルプが主成分の５７〜６１％を占め、熱硬化性樹脂の使用を半分以下に抑えた。「脱プラスチック」と、陶器のような質感や鮮やかな発色を両立させた画期的な新しい食器に、外食やホテルチェーンの問い合わせが相次ぐ。　業務用食器卸会社として各種素材の商品を扱う。まだ大半はプラスチック製だが、海洋汚染の深刻化などを受けて脱プラスチック化にも注力。これまで酢酸セルロースと綿花を原材料にした箸や、もみ殻を混ぜてプラスチックを減らした皿などを企画、販売した。　シェルミン開発が本格化したのは昨冬。卵殻に着目した理由を、プロジェクトリーダーを務めた、東京支店長の錦織大祐（にしきおりだいすけ）さん（２９）は「卵の殻はいわば二酸化炭素（ＣＯ２）の塊。燃やせば、空気中に温室効果ガスが放出されてしまう。それを素材に使い、プラスチックを減らすわけで、二重に地球に優しい」と話す。　卵殻の含有量を高めると、着色が難しい。成型を担当したヤマト化工（東京都）の長野工場や、塗装担当の高野工芸（鯖江市）の職人たちと試行錯誤。原料の配分を小刻みに変え、下処理などを工夫する中で、最適の組み合わせにたどり着いた。耐熱温度は二〇〇度で、電子レンジや食洗機の使用も可能だ。　十月に東京ビッグサイトで開催された、外食産業関連では国内最大級となる展示商談会で“デビュー”した。「『バイオマス製品』のロゴを入れることは可能か」などと好感触だったという。ターゲットは外資系ホテル、病院や学校など幅広く、来年八月末までの初年度の売り上げ目標は一千万円以上。　バイオマス商品として、一般社団法人「日本有機資源協会」の認証も取得した。福井県の「ふくいＳＤＧｓパートナー」に登録したのは五月。専務でＳＤＧｓ担当の上田秀実さん（５７）は「エコや持続可能の観点から言えば、木製やプラスチック製品の塗り直しサービスは昔からあった。ＳＤＧｓも自分たちがやれることからという姿勢で地道に取り組む」と、言葉に力を込めた。（北原愛）

【会社メモ】高野工芸（前身は高野新治郎漆器）の販売会社として１９８１年に設立された。国内は東京、佐賀、大阪に拠点があり、９３年には中国・上海に進出。２００８年４月には「エンジニアリングプラスチック樹脂製塗箸」を世界で初めて商品化した。

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【ＳＤＧｓ】「誰一人取り残さない」という考え方のもと、人種や性別、地域などを超えて地球上のみんながそろって幸せになることを目指す国連の目標。「貧困をなくそう」「すべての人に健康と福祉を」「人や国の不平等をなくそう」など１７のテーマ別の目標がある。ＳＤＧｓは「Ｓｕｓｔａｉｎａｂｌｅ　Ｄｅｖｅｌｏｐｍｅｎｔ　Ｇｏａｌｓ（持続可能な開発目標）」の略。