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有給休暇をとったことはない?大学生のバイト環境は「違法状態」か 大学生バイト「違法状態で使われる」驚愕の実態

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そうした中で、アルバイトをする多くの学生が必ずしも法律について十分な知識を持っているわけではないという弱点を突かれて、実は違法な労働環境で働いているケースが多いのではないか。

立教大学法学部消費者法ゼミ(細川幸一兼任講師)のゼミ生有志が、学生アルバイトの労働条件通知書、残業時間の賃金支払い、有給休暇取得の3点について実態を調査した。

労働条件通知書の交付がない

労働基準法15条には「使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない」とあり、書面での交付が定められている(2019年4月からはファクス、電子メールを含む)。

しかし、厚生労働省が2015年に行った「大学生等に対するアルバイトに関する意識等調査」では、学生1000人が経験したアルバイト延べ1961件で、58.7%が「労働条件通知書等を交付されていない」と回答した。そのうち労働条件について口頭でも具体的な説明を受けた記憶がないアルバイトは全体の19.1%だった。

この調査を受け、細川ゼミでも学生74人にアンケートをとった。その結果、約18%に当たる13人が労働条件通知書等を受け取っていないことがわかった。

さらにこのアンケート調査において、アルバイトをしている学生から労働条件通知書計10枚を手に入れ、内容を検証した。「法定通り・就業規則通り」などのみで詳しい内容が書かれていないものが多くを占めた。また、有給休暇について言及されていない、あってもその規定が理解しづらい文面もあった。

1分単位での賃金支払いが基本だが

労働基準法第24条(賃金全額支払い)で「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない(以下省略)」と定められており、この解釈から1分単位で支払うものとされている。

ただし、行政通達により、1カ月の時間外労働時間を計算するときに1時間未満の端数が生じた場合、30分未満の端数を切り捨て、30分以上を1時間に切り上げることは事務簡便を目的として認められている。

アルバイトをしている大学生201人に対して、賃金の支払いについての実態を調査すると、アルバイトの賃金計算のさまざまな実態について聞くことができた(カッコ内はアルバイトの業種)。

賃金の支払い単位時間についても調査すると、1分にほぼ並んで15分単位が多くを占めた。中には30分単位という回答もあった。こうしたことが実働時間に対して、適正に賃金が支払われない原因であるように思われる。

ただし、15分単位等に区切って仕事をさせること自体は、適正に賃金が労働時間を反映しているのであれば問題ない。問題は労働時間の切り捨てである(例えば、14分残業しても15分未満であるとして賃金未払いなど)。

有給休暇をとったことはない?大学生のバイト環境は「違法状態」か 大学生バイト「違法状態で使われる」驚愕の実態

この写真は、1日の就業時間を15分単位で区切っているあるコーヒーショップのタイムカード記録だ。カッコの中の時間で実際に給料として支払われる。13時53分に出勤したはずが、14時00分に。22時49分に退勤したはずが、45分となり合計11分がなくなっている。

事業者サイドからすれば、「タイムカードの記録が実労働の開始・終了を適正に反映しているわけではない」ということのようだが、そうなると労働時間を把握する手段がなくなってしまう。上記の11分は店長の管理の下の実働時間だ。

アルバイトに有給休暇はない?

アルバイトにも、有給休暇は正社員等と同様に労働基準法39条によって付与される。「雇入れの日から起算して6カ月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し又は分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない」と定められている。

これは、正社員と同様に、基本的に週所定労働時間が30時間以上または週所定労働日数が5日以上のアルバイトにも適用される。学生の中にはそれに満たない人もいるだろう。そこで「比例付与」というものがある。

週所定労働時間が30時間未満で、なおかつ週所定労働日数が4日以下のアルバイトやパートに適用される。例えば、週所定労働日数が3日の場合、全所定労働日数の8割働けば半年後には5日の有給休暇が与えられる。

では実際に有給休暇を適切に使っているのだろうか。6カ月以上勤務する学生124人に取得経験の有無を聞くと、「ない」が74%、「ある」が26%という結果になった。

有給休暇はあっても取得経験のない人に理由を聞くと、次のような回答が得られた(2019年4月からは、10日以上の有給休暇がある労働者には5日間の有給休暇を取らせることを使用者に義務化)。

賃金の支払いについて、学生の意識も聞いた。1分単位でないにもかかわらず「特に何も思わない」という回答が過半数を超えていた。規定の単位時間以内の残業はタダ働きになってしまうことも当然のように受け止めているように見受けられる。こうした意識も問題だ。

東京労働局にこうした実態についての見解を聞いたものの、「全事業主に対して一律の指導や立ち入り調査は難しい」という見解で、「もし違法な状況があるなら報告してほしい」ということだった。

違法な状態を改善したいのならば、自分たちで声を上げるべきということだ。つまり、アルバイト学生が「行動する労働者」にならなければならない。

事業者側の問題点

労働条件通知書等の交付の実態について、厚労省の調査では受け取っていないケースが58.7%、ゼミの調査は18%である。法律で義務付けられている以上、全員が交付されている状況でなければならないはずだが、それが実行されていない。これが一番問題であろう。

記載内容にも改善の余地がある。例えば、有給休暇に関しては、多くの契約書には「労働基準法の39条に定めるところにより付与する」等とだけ書かれている。これはあまりにも不親切ではないだろうか。法律は労働者すべてが一律に把握しているものではない。

実際、私たちも法学部に所属していなければ目にも留めなかっただろう。法律何条に従うというような無機質な言葉ばかり並べて契約書にサインさせて、言われなければ何も伝えない。

例えば、雇用契約時に当人の労働条件で働き続けたら半年後何日間付与される予定など、誰でも理解できる文面としての記載や、厚労省が出している「有給休暇ハンドブック」の提示を義務化して、主張しやすい環境の構築や、労働者、事業主への周知を確実にすべきである。

賃金支払い単位時間については、前述のように1分単位でないことが即座に問題になるわけではないが、その単位時間に満たない労働時間を切り捨てることにつながりやすい。

実際に学生から、切り捨てられているという声が多くある以上、そのような企業が多数存在しているのは事実である。働いた分が支払われるような制度に変えなければならない。

このような問題をひとつずつ改善することが健全な労働環境整備の一歩になり、働きやすい社会の実現につながる。労働者の権利の自覚が重要だが、それには行政による啓発や事業者の情報提供義務の強化も必要だ。

(取材・執筆 川田圭佑・北村達也・下河内里紗)

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