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南インドと北インドでカレーは全然違う。さっぱりして胃もたれしない、日本人には断然南インドです - エキサイトニュース

南インドと北インドでカレーは全然違う。さっぱりして胃もたれしない、日本人には断然南インドです - エキサイトニュース
カレーにナン、タンドリーチキン……インド料理といえば、そそういったメニューが思い浮かぶ。もちろん、それもれっきとしたインド料理だ。しかし、それが全てではない。

南インド料理(カレー)とは?

インドの面積は3,287,263キロ平方メートル、世界第7位の広さを誇る。ゆえに、北と南で気候や文化も大きく異なる。その違いは当然食にも表れていて、日本でポピュラーな「カレーとナン」という組み合わせは、小麦が主食の北インドのもの。カレーも「バターチキン」に代表されるどろっと濃厚なタイプが主流だ。横スクロールで読む『家庭で作れる南インドのカレーとスパイス料理』(香取薫著、河出書房新社)一方、南インドはどうなのか? というところで紹介したいのが、今年(2015年)7月に刊行されたレシピ本『家庭で作れる南インドのカレーとスパイス料理』(香取薫著、河出書房新社)だ。この本では「南インド料理の特徴」として、以下の7つが挙げられている。1.主食は米2.調理時間が短い3.菜食中心4.ビーフやポークなども5.ココナッツオイルを使用6.カレーリーフやタマリンドを使用7.軽食ティファンが充実中でも重要なポイントは、1「小麦が主食の北に対し、稲作が盛んな南は米が主食」、2「北よりさらに暑い南では、長時間炒めたり煮詰めて濃厚な味を出すのではなく、短時間でさっと仕上げるものがほとんど」、4「菜食中心だが、一部の地域ではキリスト教徒による肉食文化もある」だろう。つまり、米食中心である私たち日本人にも取り入れやすく、「カレーは好きだけど、毎日玉ねぎをあめ色になるまで炒めるなんて悠長なことしていられない!」という人でも気軽に作れ、材料の制限もない。加えて言えば、バターや小麦粉などを使わないので、さっぱりしていて胃ももたれない。私は、そんな「日常食」としての南インド料理(南インドカレー)にヤラれたのである。

下準備さえ終えれば、できたも同然

私が「南インドカレー」という言葉に出会ったのは、料理雑誌『dancyu』(プレジデント社)06年7月号の特集「『カレー」命」だったろうか。当時、取り上げられた南インドカレーの名店を回り、掲載されていたインド料理研究家・渡辺玲による「南インドカレーの決定版。ココナッツ風味チキンカレー」のレシピにも挑戦した。香り高く、さっぱりとしながらも強烈な旨味に、私のカレー観はひっくり返った。なにより、短い調理時間&シンプルな行程で、これだけの旨味が出せることに驚かされた。以来、私のカレー比重は、日本のカレーライス:1、北インド:3、南インド:6くらいのまま現在に至る。『家庭で作れる南インドのカレーとスパイス料理』の話に戻ろう。最近カレーのレシピ本はあまりチェックしていなかったのだが、書店で偶然手に取った本書には衝撃を受け、私の中のスパイス料理回路がパカっと開いた。とにかく作りやすいのだ。そして、かゆいところに手が届く。例えば、南インド料理を代表する酸味の強いスープ「ラサム」に使用されるトゥールダールという豆の煮方は、茹で時間が長いことを踏まえ、通常の方法に加え、圧力鍋を用いる場合も併記されている。あるいは、缶で買うとたいてい余ってしまうココナッツミルクも、粉で購入し、その都度溶かして使えばロスも出ない。本書のココナッツミルクを使用するレシピでは、必ず「またはパウダー大さじ1を湯大さじ2で溶く」といった補足があるので、その都度悩む必要がない。さらに、「里いものポリヤル」「ケーララのビーフ炒め」のように特定の材料名を冠した料理では、他の野菜や肉で作る場合は何が適しているのかも教えてくれるので、その時々の冷蔵庫の残りもので代用することも可能だ。こういう細かな配慮が隅々まで行き届いていることに感動した。なお、簡単かつ短時間で作れるのが南インド料理の特徴だが、もちろん馴れるまでは下準備に少し時間がかかるかもしれない。例えば、スパイスを炒って粉砕しミックススパイスを作る場合や、豆を煮る場合などがそうだ。しかし、これも一度作れば冷蔵・冷凍保存が可能なので、最初の1回だけ頑張れば、しばらくやらなくていい。あとは拍子抜けするくらい簡単で早い。ものによっては15分以内で作れてしまう。火のそばに長時間いたくない夏などは、ひじょうにありがたい料理なのである。

「キャベツのポリヤル」を作ってみた

せっかくなので、カレーの付け合わせに最適な炒め物「ポリヤル」を作る過程を動画に撮ってみた。メニュー名は「キャベツのポリヤル」。詳しくは説明しないが、最初に材料を用意してしまえば、あとは順番にフライパンに投入していくだけ。きっとその簡単さは伝わるかと思う。完成品はこんな感じ(写真奥)。手前にちょっとかかっているのがラサム、真ん中のは玉ねぎのピクルスである。炒めた豆の香ばしさが食欲をそそる。ちなみにこれ、カレーと組み合わせて弁当にするのもアリ。例えば、本書収録の「ラムのキーマカレー」(牛肉でもオッケー)とは好相性だった。どちらもニンニクを使っていないので、そのへんも弁当向きかと。

カレーリーフを手に入れよう

『家庭で作れる南インドのカレーとスパイス料理』の唯一の難点は、少々マイナーなスパイスや豆を使用するため、その購入に困ることだろうか。ただ、今はネット販売でどうにかなるし、東京近郊にお住いなら、上野アメ横センタービルの地下にあるアジアンマーケットや、浅草線・蔵前駅近くにある「アンビカショップ」、JR新大久保駅近くにあるアジア食材店などで購入できる(しかも安い。スーパーやそこらの輸入食材店で買うのがバカらしくなるはずだ)。それでも、生のカレーリーフは入手が難しいかもしれない。しかし、乾燥させたものはこれらの店で購入できるので、ぜひ試してみてほしい(「省略化」とは書かれているが、あるとないとでは香りに雲泥の差が出る)。……と書いたのちにネット検索してみたら、なんとS&Bから出ているではないか! いやはや、時代は変わった。なお下記の写真は、スパイス料理好きの知人から頂いた、我が家のカレーリーフの木である。私の場合、基本はドライを使いつつ、ここぞという時に生葉を使っている(まだ木があまり大きくないので、日常的に使うとあっという間になくなってしまうのだ)。スパイス料理好きの知人から頂いた、我が家のカレーリーフの木。まだ小さいが、十分料理に使用できる。今回動画で紹介したのは「キャベツのポリヤル」だけだが、その他にも「じゃがいも/にんじん/ゴーヤのポリヤル」「オクラのサーンバール」「ラサム」「チェッティナードゥ・チキンコランブ」「ラムのキーマカレー」などにも挑戦した。レシピ通りに作れば、「なにこれ、こんな本格的な南インド料理が家で食べられるの?!」というレベルのものができること請け合いである。どうか我流アレンジは加えず、そのまま作られることをオススメする。本書『家庭で作れる南インドのカレーとスパイス料理』を読んだことで、これまで使ったことのなかった「ヒーング」(玉ねぎの腐ったような強烈な匂いに辟易するが、加熱すると消える。入れることで味に深みが出る)などのマイナーなスパイスに手を出したのみならず、「やっぱスパイスはパウダーだけじゃなくてホールでも置いておきたいよね」「豆も揃えなきゃ」……などなど止まらなくなり、マイ・スパイス箱が飽和した。元を取るために、この本のレビューをあと何回か続けたいくらいである。(辻本力)

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