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話題の「村上春樹ライブラリー」こと早稲田大学国際文学館へ!本人登壇イベントと共にレポートとコラムで深掘り

話題の「村上春樹ライブラリー」こと早稲田大学国際文学館へ!本人登壇イベントと共にレポートとコラムで深掘り

何もかもがすきとおってしまいそうなほどの11月の静かな土曜日でした。

11月13日、10月にオープンしたばかりの「村上春樹ライブラリー」こと早稲田大学国際文学館にて、朗読イベント「Authors Alive! ~作家に会おう~」の第4回目が開催されました。

「音楽について」と銘打たれた今回のイベントでは、村上春樹氏本人が登壇。 村上氏から寄贈・寄託されるレコードが聴けるオーディオルームにて、「本人のリスニング環境に限りなく近い音響設備」で肉声とレコードを聴ける贅沢な催しとなりました。

1970年代にジャズ喫茶を経営していた村上氏。彼の小説には膨大な音楽が頻出する事でも有名です。

たとえば長編小説『海辺のカフカ』ではレディオヘッド「キッドA」やプリンス「セクシー・マザーファッカー」なども登場し、音楽への飽くなき好奇心と造詣の深さをうかがわせます。

この日は村上氏が「ジャズでいきたい」と、自身が翻訳した『スタン・ゲッツ 音楽を生きる』(ドナルド・L・マギン著、新潮社)を朗読しつつ、偉大なジャズの巨人、スタン・ゲッツの誕生から晩年を、アナログレコードをかけながら辿りました。

このオーディオルームは、雑誌「ステレオサウンド」元編集長の小野寺弘滋氏が選定しセッティングしたもの。

レコードプレーヤーは「LUXMAN PD-171A」、プリメインアンプは「Accuphase E-380」、スピーカーは「JBL L82 Classic」と「Sonus faber LUMINA III」。

オーディオには不勉強な私ですが、大音量過ぎず、生演奏の繊細なニュアンスを余すところなく伝えてくれるクリアで心地よい音像だと感じました。

彼の音楽を「リード楽器を何でも弾けるという天才」「蚕が絹を吐くようにメロディを紡いでいく」と絶賛しながら「スタン・ゲッツの音楽は、犠牲の上に成り立っている」と、麻薬やアルコールに耽溺していくさまを語っていきます。 「その分、音楽は美しくなっていく」とも。 ファンだったというビリー・ホリデイと共演した「Lover Come Back to Me」の時の少したどたどしいプレイや、高校生の頃に聴きまくったという「A Summer Afternoon」、ボサノヴァに接近した「Corcovado」。

数々の名演を流しながら、スタン・ゲッツを「人生はボロボロでも、美を追究する魂は歩みを止めなかった」「センチメンタリズムではなく、彼にしか出せないリリシズム」と熱量を込めて評します。

村上氏が小説で目指しているであろう境地に重なって思えるのは、長年の読者である穿った見方でしょうか。

時折、21世紀の東京を生きる我々の拍手と、20世紀のオーディエンスの拍手が重なるさまは、レコードプレイヤーはタイムマシンのようだ、と、異界へ迷い込んでいくような不思議な感覚がありました。

1948年の「Early Autumn」から死の3ヶ月前、1991年に演奏されたという「First Song」までの12曲。1秒の退屈もない2時間でした。

なお、この日のトークは年内中に、TOKYO FMで一部が放送されるそうです。

村上春樹「音楽について」プレイリスト

1.「Early Autumn」(ウディ・ハーマン楽団、1948年) 2.「Split Kick」「Dear Old Stockholm」(レーベルはルースト、1949年) 3.「Move」(ボストンの「ストーリーヴィル」でのライブ、1951年) 4.「Lover Come Back to Me」(ビリー・ホリディと共演、「ストーリーヴィル」でのライブ、1951年) 5.「These Foolish Things」(1952年のアルバム「Stan Getz Plays」) 6.「It Don’t Mean a Thing」(ディジー・ガレスピーと共演、1955年のアルバム「Diz&Getz」)7.「Cherokee」(ライオネル・ハンプトンと共演、1955年のアルバム「Hamp&Getz」) 8.「Spring Can Really Hang You Up The Most」(ニューヨークの「ヴィレッジ・ゲート」でのライブ、1961年) 9.「A Summer Afternoon」(1961年のアルバム「Focus」)10.「Corcovado」(ジョアン・ジルベルトと共演、1964年のアルバム「Getz/Gilberto」) 11.「La Fiesta」(1972年の「モントルー・ジャズ・フェスティバル」でのライブ)12.「First Song」(デンマークの「カフェ・モンマルトル」でのライブ、1991年)

TOKYO FM「村上RADIO」

・公式サイト・「Authors Alive! ~作家に会おう~」Spotifyぺージ

まるで村上春樹のテーマパーク!「早稲田大学国際文学館(村上春樹ライブラリー)」を駆け足で紹介

ここで、村上春樹テーマパークとも呼べそうな「早稲田大学国際文学館(村上春樹ライブラリー)」を、駆け足ですが紹介したいと思います。

同館は村上文学はもちろん、国際文学や翻訳文学の研究・発信の場としての資料館であり、誰もが集う「文学の家」を創造するための文化交流施設。 「物語を拓こう、心を語ろう」をコンセプトに、「この場所が、文学や文化の風通しの良い国際的交流・交換の場になってくれればと願っています」と村上氏は語ります。

トンネルを模した木のアーチが見事です。 館内のリノベーションを手がけた建築家、隈研吾氏が言う「トンネルの中に吸い込まれるような感覚」とは、村上小説で描かれる「異界に行き、帰ってくる構造」を模したものなのでしょうか。

1階のギャラリーラウンジ。村上氏の小説作品、さらには海外で翻訳された膨大な書籍などを閲覧できます。一生いれそう!

蜷川幸雄氏が演出した舞台「海辺のカフカ」の舞台芸術装置として使われた「土星」のネオンサイン。

『羊をめぐる冒険』や『ダンス・ダンス・ダンス』で登場する「羊男」!これは村上氏本人が描いたものだそうです。知らんかった。

感激!デビュー作『風の歌を聴け』の文庫版61ページで突如登場するTシャツのイラストです。浮かれるわたし。

話題の「村上春樹ライブラリー」こと早稲田大学国際文学館へ!本人登壇イベントと共にレポートとコラムで深掘り

「Tシャツは三日目の午後に郵便で送られてきた。こんなシャツだ。」

村上氏の自宅の書斎をほぼ同じ間取りで再現したという部屋。こちらは外からの見学のみとなっています。

村上氏が大学在学中に開店したジャズ喫茶「ピーター・キャット」で使われていたというグランドピアノ。

地下一階には、「人と物語と触れあう空間」を目指し、早稲田大学の学生が運営しているというドーナツやコーヒーを味わえるカフェが併設されています。

早稲田大学国際文学館(村上春樹ライブラリー)

村上春樹文学を起点に、国際文学の研究を行う資料館であり文化交流施設。 3階〜5階は、国際文学や村上文学の研究者のみが入れる研究スペース。 ・住所:東京都新宿区西早稲田1−6−1|地図・営業:10時~17時 ・休館:原則水曜 ・入館にはホームページでの事前予約が必要。

コラム「村上春樹と早稲田大学」

村上春樹氏が早稲田大学に在籍していた時代が投影されている作品となると、最大のヒット作である『ノルウェイの森』を思い出さずにはいられません。

ここ早稲田大学でも、当時は学生運動が激化し、過激派の学生が正門に椅子や机を並べて火を放ったといいます。

『ノルウェイの森』では、「100パーセントの恋愛小説」と銘打たれながら、学生運動もまた、リアリズムをもって、容赦ない筆致で、無力感と共に描かれます。

後年、学生運動の時代を振り返り、言葉への信頼を喪失し、耳に心地よい言葉を信用しなくなった、と村上氏は語ります。 作中でも「この連中の真の敵は国家権力ではなく想像力の欠如だろう」とも。とはいえ、主人公のワタナベは、自分もまた俗世間の一部であることに苦悩していくのですが。

わたしは『ノルウェイの森』で、蛍光ペンを引き、ページを折り曲げ、ノートに書き写してしまうくらい心を打たれたシーンがあります。 死んだ友人である「キズキ」に語りかけるシーンです。

「俺はこれまでできることなら十七や十八のままでいたいと思っていた。でも今はそうは思わない。俺はもう十代の少年じゃないんだよ。俺は責任というものを感じるんだ。なあキズキ、俺はもうお前と一緒にいた頃の俺じゃないんだよ。俺はもう二十歳になったんだよ。そして俺は生きつづけるための代償をきちっと払わなきゃならないんだよ。」

「俺」という一人称からは、彼の心の震えが虚飾なく吐露されているように思えます。

十代の少年でも、青春を生きる二十代でもなくなった自分は、奇しくも『ノルウェイの森』の主人公が過去を回想する年齢と同じ37歳になっていました。

皆さんは村上春樹という作家にどんなイメージを持たれているでしょうか。 「やれやれ」とアイロニックに本音をはぐらかし、軽妙な会話やオシャレな音楽を肴に酒を嗜み、不思議な女性に理不尽なまでにモテていく。そんなインターネットでネタにされているようなイメージとはまったく異なると思っています。

率直に捉えるならば「多くの祭(フエト)のために」と記された序文からは、彼が距離を取りつつ過ごした、全共闘という狂騒の時代への愛憎が込められているのではないでしょうか。

『村上春樹、河合隼雄に会いにいく』には「デタッチメントからコミットメントへ」という一節があります。社会と距離を取ることではなく、世界とどんなささやかな形であれ、関わっていくという姿勢なのだとわたしは解釈しています。 オウム真理教の一連の事件を扱った『アンダーグラウンド』あたりから、近年の『騎士団長殺し』『1Q84』などからは、喪失で終わらせない、希望を取り戻すという強い決意めいた力を感じずにはいられません。

『職業としての小説家』では「音楽を演奏するように文章を書けばいい」と伝える村上氏。エッセイなどではメッセージは特にない、と言わんばかりだった初期の作風からは想像もできないような、平易な言葉で自分のやり方を語り継ごうとする姿が垣間見えます。

学生運動で「後味の悪い失望感」を味わったという村上氏。 この場を、「村上春樹ライブラリー」により、平和的に「再占拠」する。

そんな彼のやりかたが、村上氏の学生闘争の帰結だとしたら。 「大人になるための責任の取り方」なのだとしたら。

「たとえ壁がどんなに正しくて、卵がどんなに間違っていようとも、卵の側に立つ」。 エルサレム賞を受賞した際のスピーチを裏切らない、彼なりのタフでハードボイルドな生き方なのかもしれません。

「完璧な文章なんて存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね。」

多くの少年少女がそうであるように、自分も地方都市の片隅で、小説家やミュージシャンになりたいと夢想ばかりしていました。今だってなりたいです。

この文章を書くまで忘れていましたが、わたしの「高野メルドー」という芸名は、村上春樹氏のデビュー作『風の歌を聴け』の一節から取ったものでした。

余談なのですが、高校時代「ノルウェイの林」というパロディ小説を書いていた同級生の林くんへ。 君のくっだらない小説を読んだせいで、文章書いたり、音楽をやめずにいたら、ついに村上春樹に会うこともできたんだぜ。 葬式行けなくてごめんな。

「糞だ(メルドー)。」

文/高野メルドー 紫色を偏愛するギタリスト。 SuiseiNoboAzなどでギター・ピアノを担当。 2021年11月24日、ワンマンライブDVD『MARK 3020』発売。アルバム『3020』大好評発売中。 「アプリゲット」では今まで数千本のスマートフォンゲームを遊び、毎日紹介している。 「MOTHER」や「地球防衛軍」シリーズ、「さよならを教えて」などがフェイバリット。 サウナ&銭湯、もつ焼きが大好き。好きな水風呂の温度は16度。 愛するラーメンは荻窪の「味噌っ子 ふっく」。

SuiseiNoboAz『MARK 3020』(DVD)発売中¥3,500(税抜) 詳細はこちら。

初回生産限定特典:アルバム『3020』発表前の2020年8月に開催された無観客公演『LIVE 3020』の映像をフル尺(約120分)で収めたディスクを封入した2DVD仕様。 ※無くなり次第終了致します。

編集/福アニー

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